CITRUS TRAIN
錆びれた言葉を忘れてしまえば
このパンを上手く飲み込めるかな
駅のホーム 橙が染めた
まぶしい電車が通る前に
遠い夏の地平線に
飛び込んでしまいそうだ
ねえ大好きだった夏のこと
体温だって忘れてさ
ネオンのような輪郭の
大嫌いな夜を越えるの
でもきっと僕は寂しいんだね
でもきっと僕は寂しいんだね
ざわつく気持ちと
食べかけのパンと
重たいかばんに
詰めてしまおう
快速列車泣き虫を飛ばせ
誰かに見られてしまう前に
遠い夏の風鈴の下で
君が息をした.
もう忘れなくっちゃ夏のこと
ばいばいなんていわないで
ネオンのような輪郭の
息もできない夢を見てる
特急列車は見向きもしないで僕を
無愛想に通り過ぎて行く
特急列車に見向きもしないで君は
何喰わぬ顔で通る帰り道
ねえ大好きだった夏のこと
環状線に君は乗る
教えなくっちゃ僕はまだ
大嫌いな君を捜して
かばんの奥に詰め込んだ
パンじゃない方を片手にさ
言えなかったこの喉元を
ばかだなってまた飲み込んだ